2007年5月16日水曜日

たつみのおかあちゃん

父島の奥村に、たつみ、という民宿がある。
5月10日から、調査のために同僚の本社スタッフが来てここに泊まっている。おがさわら丸の出航中はたつみのお客は彼ひとり、ひとり分の晩御飯をつくるのもなんだから、ということで、この民宿のおかみさんが、やっそも晩御飯に呼んでくれて、お言葉に甘えてお世話になっている。

晩御飯の時間には、彼とやっそが二人でご飯を食べている間中、おかみさんが横にいて3人で話をしながら、ゆったりとした時間が流れている。このおかみさんの人柄がとてもよくて、おかあちゃんと呼びたくなる。そして彼女の身の上話がなかなか面白い。

おかあちゃんが父島に来たのは、小笠原の日本返還直後、以来40年近くに亘って父島で暮らしている。「昔は大変だった~、今の小笠原は良くなりましたよ。」そんなセリフから小笠原の歴史の話が始まる。

昨日の晩御飯の時、13年前、小笠原にNHKののど自慢が来たときに、おかあちゃんの長女が優勝した話になった。「ビデオあるけど、見るかい?」。もちろん見る見る、ということで13年前のビデオの上映会が始まった。

このビデオが面白い。まず、ゲストで来ていた長山洋子が若すぎる。おかあちゃんの話では、長山洋子がアイドルから演歌歌手に転向した直後のようで、若いだけでなく、歌った参加者に対するコメントがテキトーすぎる。農協3人組が、何の曲だったかな、ダンス付きで踊った後、「ダンスがとにかくよかったですね~、私も一緒に入って踊りたくなりましたよ~」。明らかに口先だけのコメント、これを見て、へぇ~、この時代にはこんなテキトーなコメントが許されたんだ~、というようにびっくり。

参加者の中に、仕事でよくお世話になる村役場の方がいた。今は落ち着いて貫禄のある人だけど、13年前当事はまだ青年の風貌、それでも動きや雰囲気が今とあまり変わらないのがおかしい。この方以外にも、顔見知りの13年前を見ると相当笑える。のど自慢に出ているのが知り合いなんて、ほんとに小さな社会だな~、ということを実感。


この場所、そしてここに住む人々の考え方を知るためには歴史を知ることが欠かせない。おかあちゃんののんびりとした語り口に癒され、こんな小ネタに笑い、そして歴史を学んで、貴重な晩御飯の時間を過ごさせてもらった。おかあちゃん、ありがとう。

0 件のコメント: