2007年12月29日土曜日

一年間ありがとうございました!

今年1年間は、自分自身にとって激動の1年間だった。
小笠原への赴任が決まったのは、昨年のちょうど今頃の時期。
今の会社を入社2年目にして、ひとり小笠原への赴任。

現地事務所の立ち上げから、仕事につけてもプライベートにつけても人間関係のゼロからの出発。日本にあって日本ではない小笠原、最初は右も左も分からず、身近に気軽に相談に乗ってくれる人もいない中で、大変なこともいっぱいあった。

あれからおよそ1年が経った今。2回目の事務所移転を完了し、今まで自宅兼事務所だったものを切り離し、広々とした事務所でアルバイトさん共々快適に仕事ができるようになった。世界遺産登録に向けたやりがいのある仕事に携わる中で得たかけがえのない仕事仲間、一緒に音楽をやり、毎週金曜日には必ず飲みに行くスイングブローの仲間達、そして2,000人に満たない人口の中で意外に多い29歳タメ年会の仲間達。内地では得られない、幅の広い人々との良い巡り会いに恵まれて、充実した日々を過ごしている。

この1年間で築き上げてきたものを振り返ると、とても感慨深いものがある。でもこれは決して自分ひとりの力で得たものではない、関わり合ってきた多くの人々から得てきた力のたまもの。不便だからこそ、日頃のご近所の助け合いが生きる場面が多い。大変だった場面を振り返ると、そのときに力を添えてくれた人達の顔が目に浮かぶよう。こんな全ての人々に対して、ありがとうと言いたい。懐の広い小笠原の人々に、感謝。そして、どれだけの方がご覧になっているのか分からないのですが、こんな独り言のようなブログを読んで頂き、ありがとうございました。

ひとまず今日の船で一旦内地へ行き、新年は5日に小笠原に戻る予定。

今年1年間で築き上げてきた土台の上に立って、小笠原のためになる仕事ができるよう、プライベートを楽しめるよう、そしてこのブログももっともっと充実させることができるよう、来年もまた頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは皆様、良いお年を!

鍋付きダイビング

かれこれもう1週間ちょっと前に遡った話。鍋付きダイビングに行ってきた。

パパスダイビング恒例のイベントダイビングのひとつ、鍋付きダイビング。
12月に入り、昼間の気温が20度前後とダイビングにはちょっと寒い。
水が冷たいということもあって、水から上がって風に当たると本当に寒い。
そんなときには、船の上での鍋が最高!

ダイビングの水面休憩時間にアカハタを釣って、そのダシに持ち寄った具材を放り込んでグツグツ煮てできあがり!今回は島の中学生も参戦ということで、賑やかなメンバーで鍋を囲んで、美味しく楽しいひとときを過ごしてきた。

シロワニの妊婦


星野さんアカハタをさばく


みんなで鍋を囲んで

2007年12月11日火曜日

変わりダネ写真

日曜日、島を巡って観光スポットというスポットの写真を撮りまくってきた。
一応仕事の目的のために。

父島の中には、周りをぐるりと見回せる峰が幾つかある。
その代表選手の中央山と旭山で、ぐるりと見回した360度パノラマ写真を撮ってみた。思いつきでぐるぐる回転しながら撮った写真を、Photoshopで適当に繋ぎ合わせただけなのだが。

写真を繋ぐときに、手前の被写体と遠景の被写体とで輪郭線がどうしてもずれてしまう。連続しているはずの空の色もくっきり線が入るほど違いが出てしまう。きれいなパノラマ写真を撮るためには、画角の微妙な調整、逆光と順光の露出調整などなど、細かいテクニックが求められそう。

旭山より

中央山より(手前は展望台に据え付けられた案内板)

2007年12月9日日曜日

島民だけの時間

明日、12日間のドックを終えたおがさわら丸が父島二見港に入港する。
おがさわら丸の往復の移動時間
2日間を含めて合計14日間、小笠原と内地との間で人の行き来はなく、貨物船共勝丸による物資補給が2回あったのみ。

こんな境遇にありながらも、意外にも、肉が手に入りにくかった以外に特に不自由を感じないで過ごしていた。実は不自由どころか、観光客がほとんどゼロ、誰もお客さんの相手をする必要のない状況で、島の人だけの、のんびりとした特別な時間が流れていたことを心地よく感じていた。

夕暮れ時に呑み屋を覗くと、ガラガラに空いた店内を広く陣取っている顔見知りの寛いだ姿が目に入る。

先週日曜日。波乗りの後、一緒に音楽をやっているスイングブローの仲間プラス国有林職員の面々でバーベキュー。今までバーベキューに、しかも日曜日に、次の日みんな仕事なのに、こんなに集まることなんてなかった。仕事はあってもお客さんを迎えるわけでもなく、心にゆとりがあるのか、夕方6時から日付が替わる頃までのんびりと呑み通し。この寛いだ感じがなんともいえない。

この時だけの、純然たる島民だけの時間。

話は変わって、先月の終りから、小笠原の航空路開設に向けた動きが活性化している。今月中旬に空港の必要性に関する住民意識調査、そこで必要性の合意が得られれば、PI(住民参加)のプロセスを経て計画を煮詰めていくことになる。

島の中には、便利を望む人もいればそうでない人もいる。将来航空路が開設されたとして、それによる変化には様々な側面がある。少なくとも、年に一度のおがさわら丸ドック入りという一大行事は、航空路の存在により、島の人の生活に今ほどの影響を及ぼさなくなるだろう。おがさわら丸の出航・入港という1週間のサイクルに刻まれた生活のリズムも変化していくものだろう。

これは良し悪しではなく、純粋に島民それぞれの価値観の問題。住民意識調査の結果がどう出るか、楽しみでもある。

波乗り日和

小笠原に来て、はじめて波乗りをしてきた。
先週土曜日に板の扱いや乗り方、こぎ方、立ち方をベタ凪ぎの扇浦で練習。その次の日曜日は快晴、初心者向けのマイルドな波に恵まれた小港で早速実践。半年越しの念
願がやっと叶った、感激の一日。

小笠原に赴任した2月から、なんとなく波乗りをやりたいと思っていた。小笠原の冬の海(12月下旬~6月上旬)は冷たく、そして荒れる。水が冷たいとダイビングには辛く、海が荒れるとシーカヤックは難しい。そうなると、いちばん楽しめる選択肢は波乗りになる。そう思って、島唯一の波乗りスクールであるRAOさんに、3月頃からずっとコンタクトをとっていた。ところが、週末行こうとする度にベタ凪ぎの海が待っている。そんなのを何度と無く繰り返して、ああ、もう自分は波に見放されているんだ、波乗りの適性はないのかも、と半分諦めかけていた矢先・・・。
波乗りというけれども、どちらかというと波に乗せてもらう、というニュアンスの方が強い。

水面に板を浮かべてうつ伏せに寝そべる。板を介して波と一体になって、ちゃぷちゃぷと揺れる感じが気持ちいい。沖へ出ようとパドリングをするにも、ガシガシと力ずくで漕ぐよりも、手のひらで丁寧に水を捉えてゆっくりと前から後ろに押すように、ゆるゆると漕いだ方がスムーズに前へ進む。

程よく沖へ出たら、押し寄せる波を眺める。波にはいろいろな大きさ、形があり、どれもが気持ちよく乗せてくれるような波ではない。まだド素人だから波の見極めができずに空振りすることのほうが多い。

さあ波に乗る!乗れそうな波を後ろに見て、今度はガシガシと漕いで必死で波のスピードまで持って行く。波頭の手前ちょっと下、いい場所にいいタイミングでいいスピードで付けるとスルスルと板が滑り出す。その瞬間に、腕立ての要領でバッと上体を起こして板の上に立つ。そして風を切る感覚がキモチイイ。

こんなふうに波に乗っている時間なんて、1日海に入っていたところで1分に満たない程度。だけど、予定に縛られた日常を捨てて、いろんな雑念を捨てて、全てを海に託すこの時間の過ごし方が気に入った。