2007年8月14日火曜日

小笠原の盆踊り

小笠原の盆踊りは、お盆初めのこの時期に三晩連続で執り行われる。これが、今まで見てきたような内地の盆踊りとは違う、すごい盛り上がりをみせる。6時半の開始の時点では、やぐらの上で踊る人、そしてやぐらの周りでぱらぱらと踊る人がいるくらい。それが、8時を過ぎて後半に突入すると、やぐらを取り囲んで渦のような人だかりができる。島の人に観光客、みんな入り混じって汗だくになって一生懸命に踊っている。やっそもこれに混じって踊ってきた。盆踊りを真剣に踊るなんて生まれて初めてのこと、実際に自分で踊ってみるとかなり楽しいもの。今日は三晩の最終日、終盤は白熱して、アンコールが2回も飛んだ。盆踊りでアンコールなんて初めての体験。


ここの盆踊りでは、やぐらの上で太鼓を叩く人、やぐらの中段で踊る人、それを取り囲んで踊る人、そして屋台でカメ煮込みやかき氷を売る人に夏祭りの実行委員長、ほとんどみんな顔見知りで、地域のみんなでお祭りをつくりあげている感覚がする。毎年最終日には「生歌」というイベントがあって、島の人、内地から観光で来た人問わず、参加希望者がやぐらの最上段上に上り、音頭の歌を歌い、それに合わせてみんなで踊る。

傍観者は少数で、ほとんどが参加者。みんなでつくっている、そういう感覚が、このお祭りを盛り上げている秘訣なんだと思う。

2007年8月11日土曜日

水上の世界・水中の世界

今日の天気は荒れ模様、朝からスコールのような雨がザッと降ったり、そうかと思えば青空が見えたりの繰り返し。ダイビングのために朝から海に出ると、水上では強風で肌に叩きつける雨が痛い。

ところが、ひとたび水中に入ってしまえば、そこは水上の荒れ模様が嘘のように、平和でのどかな世界。


ツバメウオ


キンメモドキ


近頃、水中撮影用に、コンパクトデジタルカメラCanon IXY 900ISとウォータープルーフケースを入手したので、これからは、小笠原の水中世界の様子もお届けしたいと思います。

2007年8月10日金曜日

定点観測

生まれてこの方、こんなに狭い範囲にずっと留まったのは乳児以来のような気がする。赴任してはや半年、一度の内地出張と、偶に母島や聟島に行ったりダイビングで海に出たりする以外は、ずっと父島に留まっている。その父島の広さはというと、住んでいる場所が島のほぼ北端、そこから車道南端の小港まで、車でおよそ15分。

内地にいると、通勤だけでも1時間の移動、買い物に出たり友達と呑みに行ったり旅行に行ったり、とにかくよく移動する。ところが、ここ父島では徒歩圏内でほとんどの用が済んでしまう。景色のきれいな海岸も、1ヶ月もいればほとんど行き尽してしまう。そうなると、同じ場所に何度も行くことになる。

そして最近よく通っている場所が、前回の日記にもあるとおり、小港。仕事を終えて夕暮れ時に泳ぎに行ったり、週末の昼下がりに行ったり、本を読んだり楽器を練習したり写真をひたすら撮ったりしながらのんびり過ごしている。この場所がとても居心地のいい空間だからなのか、飽きることがない。その日その日で表情が違い、同じ日でも時間の移り変わりとともに表情が変わる。そんな風景の移ろいを写真で記録して並べてみると、こんなふうになる。

2007年8月2日木曜日

特別な場所

父島を走るバスの南側の終点に、小港はある。
父島で最も流域面積の広い、唯一まともな川といえる川である八瀬川が海に注ぐ場所に、小港の白い砂浜が広がっている。背後を壁のような急斜面の岩山に阻まれ、正面の湾は両脇を険しい岩肌の岬に囲まれて、他の浜とは違う、小港ならではの、特別の空間がある。

最近、この場所が気に入ってよく通っている。何も予定が入っていない土曜日に朝から夕方まで丸一日いることもあれば、仕事が早めに片付いた日の夕暮れ時にちょっと泳ぎに行くこともある。


ひとつの場所でも、天気や時の移ろいとともにいろいろな表情がある。強い陽射しに照らされてテカテカ光るモモタマナの木の葉の明るい緑色、まぶしいくらいの白い砂、そして陽の差す角度によって微妙に色を変化させる青い海。海の色は、青というか、どちらかというと水色に近い。夕暮れ時になると小港の正面に開けた狭い湾口にあつらえられたように沈んでゆく夕陽、陽が暮れた後の薄青色の空に瞬きはじめる星の数々。時間の経過とともにその星も数を増し、闇が訪れる頃には空が無数の星で埋め尽くされる。