こっちで生物多様性保全の勉強をしていると、Zoological Society of London、ロンドン動物園協会という名をしょっちゅう耳にする。それもそのはず、これは野生動物の調査研究に関しては世界でトップクラスの研究実績をもつ機関で、「動物園協会」の名に収まらず、世界各地で野生動物の調査研究や絶滅危惧種の保全活動をしている。
そんなわけでロンドン動物園には前々から行ってみたいと思っていたものが、やっと実現した。園内を回ってみると、見たことのない鳥やらカエルやら小型のサルやら、いろんな動物がいる。このそれぞれの動物について、その生息地や習性、絶滅の危険性や脅威などなど、丁寧な説明書きがあることに感心する。
なかでも徹底していたのはゴリラのコーナー。大きな板に、中央~東アフリカの国々で実施されている幾つかのゴリラの保全プログラムについて説明書きがあって、そのそれぞれの欄にボタンが付いている。訪問客が1ポンドを投入して、このボタンを押すことで好みの保全プログラムに募金できるという仕組み。この仕組み、単に募金を集めるというだけではなくて、どんなプログラムが動物園に来る大衆の支持を得ることができるのかを調査するにはうってつけのもの。ロンドン動物園たるもの、単なる募金に終始するはずはない。誰かがこの仕組みを使って調査をして論文を書くはず。そう思うと、この募金調査の結果に興味が向く。
ロンドン動物園は展示の作りがよくできていて、単に動物園訪問客としていろんな動物を眺めるだけでもいろんな発見があって楽しい。僕のように普段から動物保全関係の論文に埋もれた生活をしていると、文字上の動物が目の前に現れて動き回っているのを見てひとしおの感動があり、リアリティが持てる良い機会。