小笠原のこの季節を象徴する色は、青。小笠原独特の、濃く深く、それでいてどこまでも透き通った青色。この色は、島では俗にボニンブルーと呼ばれている。ボニン、とは、小笠原諸島の英語名に由来している。
小笠原は亜熱帯の島、気温の多少の変動で、暑い季節と暖かい季節の違いはあっても、内地の春夏秋冬のように、一目瞭然の四季というものがない。ところが、海には四季があるという。
これは前の日曜日にお世話になったFISH EYEというダイビングショップのオーナーである笠井さんから聞いた話。通常、熱帯~亜熱帯の海には、雨季と乾季の二季しかない。ところが小笠原の海には四季がある。小笠原諸島は北赤道海流と黒潮のふたつの海流の狭間にあり、その反流(本流から枝分かれして、渦を巻くように反対方向に流れる海流)が小笠原諸島を洗っている。12月~6月初旬にかけては、北から南下してくる黒潮の反流が優勢で、島の周りの水温は低く、それほど透明度は高くない。冬~春にかけて小笠原諸島近海で繁殖するザトウクジラは、この海流とともにやってくる。6月中旬~11月にかけては、南から北上してくる北赤道海流の反流が優勢で、島の周りの水温は高く、どこまでも透き通っている。雨季と乾季の二季、それに黒潮の季節と北赤道海流の季節の二季をかけて、小笠原の海には四季があるということになる。
この2ヶ月の間に、小笠原の海はこの季節の変化を経て、ボニンブルーに染まっている。沖へ出て、船の上から海を見下ろすと、海面に映る自分の影の輪郭線からはじまり、濃い青色の海中深くに向かってどこまでともなく続く光の筋が見える。海に潜って太陽を見上げると、太陽がまぶしい青色に見える。
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