2007年12月9日日曜日

島民だけの時間

明日、12日間のドックを終えたおがさわら丸が父島二見港に入港する。
おがさわら丸の往復の移動時間
2日間を含めて合計14日間、小笠原と内地との間で人の行き来はなく、貨物船共勝丸による物資補給が2回あったのみ。

こんな境遇にありながらも、意外にも、肉が手に入りにくかった以外に特に不自由を感じないで過ごしていた。実は不自由どころか、観光客がほとんどゼロ、誰もお客さんの相手をする必要のない状況で、島の人だけの、のんびりとした特別な時間が流れていたことを心地よく感じていた。

夕暮れ時に呑み屋を覗くと、ガラガラに空いた店内を広く陣取っている顔見知りの寛いだ姿が目に入る。

先週日曜日。波乗りの後、一緒に音楽をやっているスイングブローの仲間プラス国有林職員の面々でバーベキュー。今までバーベキューに、しかも日曜日に、次の日みんな仕事なのに、こんなに集まることなんてなかった。仕事はあってもお客さんを迎えるわけでもなく、心にゆとりがあるのか、夕方6時から日付が替わる頃までのんびりと呑み通し。この寛いだ感じがなんともいえない。

この時だけの、純然たる島民だけの時間。

話は変わって、先月の終りから、小笠原の航空路開設に向けた動きが活性化している。今月中旬に空港の必要性に関する住民意識調査、そこで必要性の合意が得られれば、PI(住民参加)のプロセスを経て計画を煮詰めていくことになる。

島の中には、便利を望む人もいればそうでない人もいる。将来航空路が開設されたとして、それによる変化には様々な側面がある。少なくとも、年に一度のおがさわら丸ドック入りという一大行事は、航空路の存在により、島の人の生活に今ほどの影響を及ぼさなくなるだろう。おがさわら丸の出航・入港という1週間のサイクルに刻まれた生活のリズムも変化していくものだろう。

これは良し悪しではなく、純粋に島民それぞれの価値観の問題。住民意識調査の結果がどう出るか、楽しみでもある。

波乗り日和

小笠原に来て、はじめて波乗りをしてきた。
先週土曜日に板の扱いや乗り方、こぎ方、立ち方をベタ凪ぎの扇浦で練習。その次の日曜日は快晴、初心者向けのマイルドな波に恵まれた小港で早速実践。半年越しの念
願がやっと叶った、感激の一日。

小笠原に赴任した2月から、なんとなく波乗りをやりたいと思っていた。小笠原の冬の海(12月下旬~6月上旬)は冷たく、そして荒れる。水が冷たいとダイビングには辛く、海が荒れるとシーカヤックは難しい。そうなると、いちばん楽しめる選択肢は波乗りになる。そう思って、島唯一の波乗りスクールであるRAOさんに、3月頃からずっとコンタクトをとっていた。ところが、週末行こうとする度にベタ凪ぎの海が待っている。そんなのを何度と無く繰り返して、ああ、もう自分は波に見放されているんだ、波乗りの適性はないのかも、と半分諦めかけていた矢先・・・。
波乗りというけれども、どちらかというと波に乗せてもらう、というニュアンスの方が強い。

水面に板を浮かべてうつ伏せに寝そべる。板を介して波と一体になって、ちゃぷちゃぷと揺れる感じが気持ちいい。沖へ出ようとパドリングをするにも、ガシガシと力ずくで漕ぐよりも、手のひらで丁寧に水を捉えてゆっくりと前から後ろに押すように、ゆるゆると漕いだ方がスムーズに前へ進む。

程よく沖へ出たら、押し寄せる波を眺める。波にはいろいろな大きさ、形があり、どれもが気持ちよく乗せてくれるような波ではない。まだド素人だから波の見極めができずに空振りすることのほうが多い。

さあ波に乗る!乗れそうな波を後ろに見て、今度はガシガシと漕いで必死で波のスピードまで持って行く。波頭の手前ちょっと下、いい場所にいいタイミングでいいスピードで付けるとスルスルと板が滑り出す。その瞬間に、腕立ての要領でバッと上体を起こして板の上に立つ。そして風を切る感覚がキモチイイ。

こんなふうに波に乗っている時間なんて、1日海に入っていたところで1分に満たない程度。だけど、予定に縛られた日常を捨てて、いろんな雑念を捨てて、全てを海に託すこの時間の過ごし方が気に入った。

2007年11月30日金曜日

ニクの日にありったけの肉

今日は1129日、ニクの日。

小笠原は何を買うにも値段が高い、スーパーで売っている肉も例にもれず。
でも、月に一度だけ、肉がお買い得な日がある。それがまさに、今日、この日。

おがさわら丸は1124日に去った便を最後にドック入り、次に来るのは2週間後の129日。それまでの間、不定期貨物船の共勝丸が2便ほどあるものの、生鮮食料品の輸送量は限られている。1124日におがさわら丸が去って以来、スーパー店頭の生鮮食料品がみるみる減っていく・・・。

とりあえず、24日のうちに冷蔵庫に入るだけのありったけの野菜を買い込んだ。でも、悲しいことに、閉店間際だったせいか、肉が全て売り切れていた(注)。次の日も、その次の日も・・・。

でも、今日は肉の日、絶対に肉を買ってやる、肉がゴロゴロ入ったカレーを食ってやる、そう自分に言い聞かせて1日を過ごした。小祝商店の閉店時刻は午後6時半。午後5時、仕事の打合せが始まる。こういう時に限って相手方が熱心で、6時過ぎても終わる気配なし。やばい、肉が買えなくなる。小祝商店は明日から2連休、肉ゴロゴロカレーは幻か?!

午後620分、なんとか終りにできそうな気配、話を無理矢理終わる方向へもって行く。625分、相手方の事務所を出る、すると親切にも事務所外側の廃棄物分別状況を説明してくれる、でも肉が買えなくなる・・・。

午後630分ギリギリ前、閉店準備中の小祝商店に滑り込む。肉、肉、肉・・・。閉店準備で消灯され、シートがかけられた肉コーナーに、かろうじて幾つかの肉のパックが残っていた。でも、あるのはニュージーランド産冷凍ラム肉薄切り、もつ加熱用、すきやき用薄切りオージービーフ・・・。なんだか寂しくて、全種類買ってしまった。

近くを通りかかった知り合いの店員さんに声をかけると、「ああ、肉ね、お昼ごろにはほとんど売り切れていたよ」だって・・・。おがさわら丸ドック入り中の島民の生存競争は熾烈を極める。

家に帰って、3種類の肉のパックを並べて、さて、どれをカレーに入れたものかと、しばらく葛藤した。

(注)小祝商店ではある程度の量の塊肉を仕入れて、その日売る分だけ切って店頭に並べているから、おがさわら丸が来ない間も、店頭の肉が消えたからといって小笠原に肉が全く無いわけではない。

2007年11月27日火曜日

シロワニを前から見ると・・・

alisa、コメントありがとう。
そのコメントにお応えして・・・
前から見たシロワニ。恐るべし!(マイミクのマゴさん撮影)

2007年11月25日日曜日

冷たい雨と熱々の豚汁

この一週間で小笠原の気候はがらりと変わった。
先週の日曜日は、内地の秋晴れを思わせる、抜けるように青い空と凪いだ海。
今週の日曜日は、内地の梅雨を思わせる、垂れ込めた雨雲からしとしとと断続的に降る雨と、風・うねりの強い海。


内地に強い冬型の気圧配置をもたらした低気圧が小笠原まで北の寒気を呼び込んだのか、ぐんと気温が下がった。ここ数日は前線が小笠原上空にあり、どんよりとした日が続いている。

そんな中、パパスダイビング企画の船上豚汁パーティーに参加してきました。水温も若干下がって24度、でもそれよりも水から上がって冷たい雨と風に打たれて体の芯まで冷えてしまうのがつらい。こんな逆境にあって、熱々の豚汁が骨身にしみて旨かった。

水中から海面を見上げると・・・

シロワニ(サメ)のシルエット

2007年11月21日水曜日

父島の隠れ絶景スポット

父島には表と裏がある。地形が比較的緩やかで、扇浦や小港など、穏やかなビーチが連なる北西側が表、急峻な地形でアクセスがなく、観光客があまり目にすることのない南東側が裏。表には市街地が発達し、海岸線を道路が走り、遊歩道も整備されている。一方裏には車道や遊歩道などは殆ど無く、戦前に利用されていた歩道跡や戦中の軍道跡の頼りない道筋を辿ってずいぶんと歩かなければ到達することができない。

この裏側に、知る人ぞ知る絶景スポットがある。海岸線には海抜およそ200メートルから海面に向けてズトーンと一気に落ち込む断崖絶壁が連なっている。この断崖に上って海を見下ろしたときの海の広さ、蒼さ、そしてそのスリル感がたまらない。ボートで下から見上げたときの迫力も捨てたものではない。

小笠原の秋

もう暫くブログを更新しないうちにずいぶんと季節が移り変わってしまった。今まで読んでいてくれていた方々も、もう見てはくれないのかなとも思いながらも再開することにします。

前回の更新は8月の夏真っ盛り、そして今は11月下旬。内地はもうすっかり寒くなって冬の装いのこの季節、小笠原ではまだ昼間は30度を越える真夏日が続いている。ところが、週末に久々に海に出てみると、以前は焼き付けるような日差しが、やさしい光線に変化している。空気はカラッとして、風も若干冷たくなっている。こんな微妙な変化に、小笠原にも秋が訪れているんだなと実感した。


海に潜ってみると・・・。水温はちょっと下がっているものの24度、まだまだ潜れる暖かさ。海流の切り替わりのタイミングのせいか、気温の低下にずいぶんと遅れて水温が下がる模様。海の中の様子も、心なしか真夏よりもちょっと穏やかになっているように感じる。