2008年12月30日火曜日

マクロレンズの威力

11月の終わり、おがさわら丸のドックが明けた頃からしばらくの間、仕事で映像撮影の案内をしながら、自分でも固有植物の写真を撮り続けていた。11月は、小笠原の固有種のなかでもキク科の植物が多く開花する時期。木になったキク科植物ワダンノキなどの特殊な形態をもったもの、近年数が減っていて絶滅が危惧されるものなどなど、注目に値するものが特に多い。

ところが。

花が咲いたとはいっても、花はどれも極端に小さくて地味。

植物が花弁を発達させる最大の理由は、花粉を運んでくれるハチなどの訪花昆虫にアピールして、より高頻度で花粉を運んでもらうためであると考えられている。他の植物がハデな花をつけて訪花昆虫を惹きつけると、そうでない植物には寄ってこなくなる。そんな植物は繁殖に失敗し、子孫を残せず淘汰されていくという理論。

小笠原には、ハデな花を咲かせる在来の植物はそう多くない。6月頃、ムニンヒメツバキやクチナシなど、花が比較的ハデだったり強い芳香をもった植物の開花ピークがあるが、11月にはそういった花が特に少ない。小笠原の11月には、訪花昆虫を取り合う競争相手が多くなかったのか、この時期に咲くキク科の花はどれも小さくて地味。

そんな小さな花たちも、マクロレンズでギリギリまで寄って撮影すると、地味ながらも可憐な表情を見せてくれる。

ヘラナレン

ヘラナレンの花のアップ

ワダンノキ

ワダンノキの花のアップ