相変わらず気まぐれですみません。
8月中はひたすら現場の仕事が多かった。
そのひとつが、父島の北側に隣り合う兄島での調査。世界自然遺産登録を目指して、小笠原の生態系の重要な価値とされているものに、ずいぶん前の話で触れた陸産貝類のほかに、乾性低木林というものがある。
小笠原諸島は大陸と一度も陸続きになったことのない海洋島で、生き物たちはすべてはるばる海を渡って小笠原に辿りついた。植物に関しては、日本本土ではなく、東南アジア系に起源をもつものが70%もあるという。こうした渡ってきた植物たちが、長い年月をかけて出身地よりも雨が少なく乾燥した小笠原の気候に適応していく中で、多くの種が出身地の祖先とは違う形態や特徴をもつ新たな種に分化し、小笠原の固有種となった。
兄島の乾性低木林は、こうして小笠原で独自に進化してきた固有植物種の宝庫。日本では他には見ない、独特な景観がある。種によって葉の色がずいぶんと違い、遠く見渡すといろんな緑色のモザイク模様がきれい。


